2019年9月23日、各国首脳や世界中のCEOらがニューヨークに集まり、国連本部で開かれた気候行動サミットの一環で1.5℃目標達成のための「行動」について議論をしました。この記事では、気候行動サミット、1.5℃(2.0℃の場合はどうなるのか?)さらにビジネスリーダー、各国政府そして社会全体が貢献できることは何かといったあなたが知っておくべきこと全てをご説明していきます。

あなたはニューヨークで開催された国連気候行動サミットについてご存知ですか。もしかしたら気候変動に関する政府間パネル(IPCC)について聞いたことがあるかも。あるいはスウェーデン人環境保護活動家、グレタ・トゥンベリ氏による怒りの演説をテレビで目にされたかもしれません。そうでないにせよ、地球温暖化による気温上昇を2℃にあるいは1.5℃までに抑止することを聞いたことがあるのではないでしょうか。今回の国連気候行動サミットは1.5℃に重点を置いて
いますが、2℃から0.5℃低くすることがなぜ重要なのでしょう。わたしたちの夏の休暇が1.5℃ではなく2℃暑くなることがこの世の終わりのような非常事態なのでしょうか。答えはYesです。なぜYesなのか少しお話しすると、0.5℃は穀物不作、森林火災、洪水、経済活動への打撃、
そして何千万人単位で気候難民の数を増加させるです。逆に言えば、8月に消費するレモネードの量が増える以外に0.5℃は大きな違いを生み出すことができるのです。

まず重要なことから。1.5℃の温暖化とは地球の平均表面温度の上昇を意味します。もう一つ言及すべきことは、グローバルな気温上昇率は世界均一というわけではないことです。事実、複数の地域(北極域)ではその他の地域に比べて温暖化のペースが早いことが確認されています。
そのため、誰かから1.5℃の温暖化について聞いたとしたら、あなたの家の庭ではなく、地球の
平均気温上昇を食い止めることを話しているのだと頭に入れておいてください。気候変動に
ついてもう一つ覚えておくべきことは、 1.49999°C 以下に気温上昇をとどめたならば常に虹を
目にすることができ、誰もが無料でアイスクリームゲット!というわけではないということ
です。すでに気候変動に関連した課題を世界中が経験しています。
しかし、いつそしてなぜ世界の焦点が2℃から1.5℃へ変わったのでしょうか。

何年もの間、国連のフォーカスは単に地球温暖化を産業革命の前と比べて2℃未満に抑えることでした。しかし、“世界のロックスター科学者グループ”として知られている国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に公表した『1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書(Special Report on Global Warming of 1.5℃)』は、今となっては広く理解されている1.5℃の気温上昇によるリスクを2℃のそれと比較・強調し、報告されたいくつかの予測は大きな懸念を
もたらしました。同特別報告書はなぜ国際的な焦点及び議論の的が2℃から1.5℃へ変化したのかについて説明しています。以下は1.5℃と2℃の世界間の小さな違いがどれほどクレイジーなのかを裏付ける関連事実です。

  • 北ヨーロッパでは、2℃の気温上昇は1.5℃のそれと比べて2倍もの温暖化による異常気象
    発生するとされています。かつてないほどの猛暑日を迎えることで、特に社会の脆弱な層の
    死亡者の増加が見込まれます

 

  • 同様のことが雷雨と豪雨に言えます。実際に地球の温暖化が2℃進んだ場合、ヨーロッパは1.5℃のシナリオと比較して降雨量が2倍になると予測されています。

 

  • 2℃の気温上昇は1.5℃のそれと比べて、海面水位がさらに10cm上昇し、さらに1000万人
    影響が及ぶ、と予測されています。これは、デンマークの人口の2倍にあたります。

 

  • 氷のない北極圏: 1.5℃のシナリオでは、100年に一度氷のない夏が到来する可能性が高い
    とされています。2℃の場合その頻度は少なくとも10年に一度に上昇します。
    すなわちたった
    0.5℃の違いで海面上昇率に10倍もの差があるのです。

 

  • 最後になりますが、 1.5℃のシナリオではさらに80%ものサンゴ礁の減少が予測されていますが、2℃温暖化した場合はほぼ消滅するとされています。美しいだけでなく、サンゴ礁は世界全体の海洋生態系にとって不可欠な存在である上、10億人が食糧資源として頼っています。

 

言うまでもないことですが、これらの統計データはIPCCが2018年に発表した1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書の内容を単純化したものです。詳細は報告書をご覧ください。

数値及び気温を軸としたシナリオの比較のいくつかは理解が困難なものもあるかもしれませんが、理解を促進してくれるビジュアル資料が存在します。このVoxが作成した図もわたしたちの
お気に入りの一つです。しかし、Carbon Briefによる素晴らしく質の高いウェブサイトを含め、
他にも質の高い資料が存在します。New York Timesによるビジュアリゼーションも素晴らしい
出来栄えです。

トリックは、意味のない数値になりがちな世界の統計データではなく、あなたがどこに
住んでいようとも、あなた自身にとって意味がある統計データや図を発見することです。あなたはアムステルダム市民ですか。そうであるならば、海面上昇があなたや海抜の低い地域で暮らすご家族に及ぼす影響について考えるべきでしょう。もしあなたがオーストラリアに住んでいる
のであれば、著しい勢いで増加している干ばつが厄介な問題を引き起こす可能性があります。
あるいは魚好きのあなたのご家族がサンゴ礁の崩壊により受ける影響について思いを巡らして
みてください。

あなた自身の場所を選んで、事実を見つけて。

そうすれば、なぜ0.5℃が世界を変えることができるのか真に理解することができるでしょう。