雨の中自転車通勤をしている時、ビーガン用
ボロネーゼソースを選ぶ時あるいはクライメート・ストライキに参加している時、わたしは
自分自身ができることを最大限していると実感します。なぜ企業はさらなる行動をとらないのでしょう。気候変動との闘いという同様の役割があるに違いありませんが。


国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に公表した『1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書(Special Report on Global Warming of 1.5℃)』の悲観的
予測を読んだ後、わたしは各国政府が抜本的な措置を講じてこなかったことや
多くの企業がいまだに知らぬふりをして同じビジネスを続けていることに疑問を
抱くようになりました。今日の社会における民間企業の役割の重要性を鑑みると、
わたし自身そして政府同様に企業が気候変動への取り組みの役割を果たすことは
不可欠です。

企業は気候変動対策に取り組むべきか?
あなたが多国籍企業の社長であるという架空のシナリオを想像してみましょう。
何年にもわたりあなたは一定の方法で操業してきました。そして正直な所、
その操業には環境の専門家がまったく携わっていなかったとします。だとしたら、
あなたの企業のサプライチェーンの環境への影響、輸送関連で排出された温室効果
ガス、包装に由来する化石燃料といったことに思いを巡らせることはないでしょう。
歴史的には重要度が低かったものの、いずれこれらに対するあなたのビジネスモデルの責任をステークホルダーが問い始める可能性があります。
もしかするとあなたは十分な政策を取らない政府の責任あるいはマーケットシグナルを出さない消費者の責任、もしくは輸送に由来する排出ガスに対処しないサプライヤーの責任であり自分の責任ではない、と考えるかもしれません。本当にこれらの高度に複雑な問題へ対処しない企業の責任なのでしょうか。責任を取らないのが多くの企業の現状ですが、これには改革が必要です。

気候変動はビジネスに対する脅威なのか?
ビジネスの観点からは、気候変動の直接的結果により多くの企業が悪影響を受ける
でしょう。水の利用可能性や耕作地の環境変化は将来にわたる影響をもたらします。
異常現象の頻度や重度の高まりはすでに建物、インフラそしてサプライチェーンに影響を及ぼしています。事実、ある研究は調査した異常気象の約70%が人為的な要因による気候変動の結果であり、深刻度がより高かったことを示しました。これらの頻繁かつ
深刻な異常気象現象は企業に莫大な財務的影響をもたらすに違いありません。

もっとも気候変動の間接的影響も脅威を及ぼします。規制や政策の変更、破壊的
テクノロジーやビジネスモデルの開発あるいは気候変動緩和もしくは適応策に
基づく顧客行動における変化は全てビジネスに影響を及ぼす可能性があります。
今や将来排出ガス削減を義務付ける規制は避けられない、と捉えるべきです。
さらに、排出量の多い企業はいずれ排出削減、回収、除去に向けた施設改修に莫大な
投資を行う必要があるでしょう。ですので、特にエネルギー会社がクリーンな
資源による発電に先行して切り替えることは非常に良いアイディアであると思います。

以下のインフォグラフィックにより様々な産業の気候変動リスクへの感度の違いを
ご覧いただけます。


資料: McKinsey Analysis

“サステナビリティ・ヒーロー”に向けた機会
わたしは個人的にこの人道的そして地球への危機は早急に行動を起こす十分な理由
であると信じていますが、伝統的ビジネスがそうすべき理由はさらに多く存在します。再生可能資源の値段が低下している中、企業は真の再生可能なエネルギーの購入により節約及びブランド価値向上の達成が可能です。環境に配慮した製品やサービスを求める消費者のニーズに合わせたり、自らの価値観に根ざした仕事を求める社員と共に
取り組むことも可能です。

企業という存在でありながらサステナブルであるということについて
環境に配慮した原料で製作された人目をひく商品の例はまだまだあります。
Global Opportunity Explorer
は、新たなビジネス方法の実現可能性を証明するサステナ
ビリティソリューションをまとめた世界最大のプラットフォームです。Ananas Anamはパイナップルの葉(クラウン)でレザー製品を、Sea2Seeは海で回収したプラスチック
廃棄物でサングラスをそしてBolt Threads製は菌糸から植物性のレザーを製作しました。
これらはファッション業界の例ですが、どの分野にもソリューションは存在します。
しかし、サステナビリティを大規模な多国籍企業のコアビジネスに統合することは非常に困難となりえます。もっとも世界的排出レベルに企業が与える影響の大さを考えると、大企業であるか否かにかかわらず使用するリソースから排出する温室効果ガスに
至るまで地球への影響を検査すべきです。CDPが公表した2017年レポートは、たった100の企業が1988年以降に排出された温室効果ガスの70%を占めていたことを明らかにしました。これは驚異的事実であり、わたしたちが排出ガス削減をするためには企業
自体やそのビジネスの変革が不可欠です。

企業が変革を遂げる時、そのスピードにおいて大きな違いを生み出すことが可能な場合が多々あります。例えば、GoogleやIKEAのような企業が2020年までに再生可能電力へ100%切り替えた場合、その影響は偉大です。その他にも時価総額総計2兆米ドルに
のぼる約100社がすでに1.5°C目標に合致した科学的根拠に基づく目標の設定に
取り組んでいます。もしこれらの企業が目標を行動に移したならば、これまでずっと
必要とされてきたムーブメントの始まりをわたしたちは目にすることになるでしょう。Sustainiaの最新レポートである1.5°C Business Leadershipでは、これらの企業の
ユニークな取り組みについて紹介していきます。

なぜビジネスの参加が必要なのか?
ビジネスが持続可能な社会への変革において重要な役割を担っていることは明白です。企業による取り組みがなければ温暖化を1.5°C以下に抑えることは不可能です。企業は
わたしの自転車通勤では想像できない規模の変化を生み出すことが可能なのです。
そしてわたしは雨の日の自転車通勤やビーガン用ボロネーズソース購入を継続するのに加えてどの企業がもっとも意味のある取り組みを行っているかを監視し、
可能な限り購入によってその企業を投票していこうと思います。